【第9話】遠方の長男という名の嵐(サービス担当者会議編)

ケアマネあるある

ケアマネジャーの皆さま、今日もお疲れ様です。日々、利用者様とご家族の間で「正解のない問い」と向き合い、調整に奔走されていることとお察しします。

今回は、多くのケアマネが一度は(あるいは何度も)経験したことがあるであろうような光景を描いた漫画について解説します。

まずは、この漫画で描かれている状況を振り返ってみましょう。

1. 穏やかな会議の始まり

デイサービスの利用も順調、本人も楽しんでいる。多職種が集まり、「このまま安定した在宅生活を継続しましょう」という共通認識を確認する、まさにケアマネにとっての「理想的な会議」のスタートです。

2. 「正論」という名の暴力

そこへ、普段の介護にはノータッチ「遠方の長男」が突如乱入します。

「週3回も他人に預けるなんて家族の怠慢だ!」 「家族の絆」「親孝行」

彼が振りかざす言葉は、教科書的には正しいかもしれません。しかし、現場のリアルを知る私たちからすれば、これほど残酷な言葉はありません。

3. 沈黙する「同居の次男嫁」

この漫画で最も注目すべきは、矢印で示された「同居の次男嫁」の存在です。彼女は日々の主介護者であり、最も疲弊しています。長男の「理想論」は、彼女が積み上げてきた努力と、ようやく手に入れた「休息(レスパイト)」を全否定するものです。

彼女のやつれた表情と、「お父さんデイ行くの楽しみにしてるのに…」という心の声が、この会議がいかに壊滅的かを物語っています。


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なぜ「遠方の長男」は暴走するのか?

私たちは彼を「厄介者」として片付けてしまいがちですが、その背景にある心理を理解しておく必要があります。

  • 罪悪感の裏返し: 遠くにいて何もできない自分への罪悪感を、熱心な(しかし的外れな)発言で打ち消そうとしている。

  • 情報の断絶: 24時間の介護の過酷さを知らず、たまに会う「元気な時のお父さん」のイメージで止まっている。

  • 「家族」への幻想: 自分が育った頃の古い家族観を、現在の状況に無理やり当てはめようとしている。


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私たちケアマネにできる「防波堤」としての役割

会議が「続行不能」になる前に、そして主介護者が倒れてしまう前に、私たちが取れる対策を考えます。

① 「キーパーソン」の再定義と事前調整

書類上のキーパーソンが長男であっても、実質的な決定権や負担は同居家族にあります。重要な会議の前には、必ず遠方の家族にも連絡を入れ、「現在の課題」と「介護者の疲弊状況」を数値や客観的事実で共有(事前レクチャー)しておくことが不可欠です。

② 本人の「声」を代弁する

漫画の最後で、お父さんはのんきにお茶をすすっています。ケアマネは、本人がデイでどれだけ生き生きとしているか、具体的なエピソード(写真などがあればベスト)を提示し、「本人の楽しみ」を軸に話を戻すスキルが求められます。

③ 主介護者(次男嫁)の「盾」になる

「怠慢」と言われた次男嫁さんを、その場で即座にフォローできるのはケアマネだけです。「お義姉さんがこれまでどれだけ献身的に支えてこられたか、私たちは一番近くで見ています」と、プロとして彼女の正当性を担保する必要があります。


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結びに:燃え尽きないために

漫画のラスト、灰のように真っ白になったスタッフたち。 「じゃあ、あとは頼んだよ!」と言い残して去る長男の背中に、何度「ちょっと待て!」と叫びたくなったことか。

しかし、ここで私たちが折れてはいけません。 この会議の後、ケアマネが真っ先にすべきは、やつれた次男嫁さんのフォローです。「あの言葉は気にしなくていいですよ。私たちはあなたの味方ですから」という一言が、彼女の心を救い、在宅生活を維持する最後の砦になります。


今回のケースについて、あなたなら「嵐」の去った後、次男嫁さんにどのような声をかけますか? また、長男への「次の一手」はどう考えますか?

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